2017-03

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【忘備録】オヤジの部屋から出てきた一枚の紙

更新が遅れて申し訳ない。

少しずつオヤジのものを片付け始めました。
その中に、感熱紙に印刷された一枚の紙にオヤジが書き記したものがありました。
そのままにしておけば、印字は薄くなり判読が難しくなります。
この文章が何処かで掲載されているか不明です。
忘備録のつもりで全文掲載します。(一部イニシャル)


『私・平山亨のヒーロー像』  平山 亨

このテーマは永遠の戦友 通称Yちゃん Y氏から貰ったものです。私はネタに困るとYちゃんに電話をする。
彼はいとも簡単にテーマをくれる。私は又いとも簡単に難関を突破できるのだ。私は幼い頃から本が好きで紙芝居が好きだった上に、母が映画好きだったので、いつの間にかヒーローが好きになって居た。もっとも日がな一日本を読んでいるのだからヒーロー物ばかりを選んで読み事が出来なかったので手当たり次第読んだ訳で、すぐ近くの祖父の家には大きな書棚が有って世界文学全集や日本文学全集がずらりと並び『クオバデイス』『ああ無情』『フアウスト』『岩窟王』『罪と罰』『マクベス』『怨讐の彼方に』『一本刀土俵入』『金色夜叉』等々が無限の宝だった。『紅はこべ』みたいな冒険アクション物にあたると嬉しいのだが、『マノンレスコウ』みたいなラブロマンスだって読物に飢えていた私は貪り読んだっけ。五歳児に恋なんて判る筈は無いのだが、『男と女って本当に好きになるとどうしようも無くなるんだなあ」なんて判ったつもりだった。そればかりじゃない家には母の月刊雑誌『婦人倶楽部』『主婦の友』父の月刊雑誌『キング』『富士』あたりの連載で『愛染かつら』を読んだ。祖父の家には年齢のあまり違わない叔父が二人いて雑誌も『少年倶楽部』『少女倶楽部』『譚海』『海軍グラフ』等々それこそ私の精神の原点がそこに有ったのだ。『岩窟の大殿堂』『夾竹桃の花咲けば』『君よ知るや南の島』『ああ玉杯に花うけて』『少年賛歌』『天兵童子』『まぼろし城』『浮かぶ飛行島』『太平洋魔城』『見えない飛行機』『敵中横断三百里』『大東の鉄人』『新戦艦高千穂』『トムくんサムくん』『愚兄賢弟』等々等々私の精神世界はこの頃に基礎作りなされた。『自己犠牲の美しさ』『身を捨ててこそ浮かぶ瀬も有れ』等々後年東大美学卒業論文に講談や浪花節に見られる精神的『美』について論証をテーマに取り上げようとしてヘーゲル美学の主任教授にキャンセルされたのは残念であった。教授によると『人間の美徳行為』は美学で扱う『美』ではないと言うのだ。ヘーゲル美学で扱う『美』とは、或る物体や或る事象が美しいと感じられた時、そういう事を『美』と言うのだそうだ。私は幼い頃から人間の醜さ多々直面し厭世感に憑りつかれて居た。それだからこそ、まさにそれだからこそ少しで良いほんの少しでも良い、人間の生き態の美しさが感じられたら死んで良いと思う程に落ち込んでいた。私は良く感動の涙を流す。プロデューサーはもっと冷静でなくてはいけない。涙なんか流して居てはみている番組の欠陥は見抜けないと批判される。しかし私は例えそれが番組の中の架空の話でも良い、人間の生き態に感動したいのだ。こんな具合だから私のヒーローは全く真面目一方で面白さや楽しさに欠ける。当時、マジンガーZのカブトコウジと比べられて批判されたもんだ。『ゴレンジャー』は珍しく明るいが、あれとて敵が明るいので、そう見えるガ、ヒーローであることへの責任感が強すぎて息が詰まるのは同様だ。『快傑ズバット』だって主人公の日常は友人を惨殺去れた怨みと悲しみに充ちている、その怨みの深さを敵に向けると、あの湯名人を喰った言動になるのだ。そんな私がヒーローの元祖の石森先生と出会ったのだから大変だ。古今東西世界中のヒーローを分析して先生に問い質す。古くはオデッセイから日本武尊のヒーロー像、女に変装して接近して熊襲を討ち取った時、熊襲は「貴君は智勇すぐれた英雄である」とと称賛の言葉を残して死んだと言う。現代の感覚で言えば『騙し討ち』、卑劣な行いだと言うところだが、太古の日本では智勇すぐれたヒーローという言うことになるのだ。こんな話も石森先生から聞いた。先生は本当に元祖ヒーロー作家だった。ヒーローとはなんだ。ヒーローとはどうあるべきものなのか。スーパーマンも月光仮面も旗本退屈男も圧倒的に強くて、負けるなどとは欠片ほども思わせない。飽くまで完璧で悩みなど一切もっていない。飽くまで明るく完璧でなくてはならない。これが『サイボーグ009』以前のヒーローだったのだ。私も大学卒業後東映京都撮影所に助監督として勤務し『笛吹き童子』『里見八犬伝』から『丹下左膳』『鳳城の花嫁』『赤穂浪士』『清水次郎長』『殿様弥次喜多』『水戸黄門』『遠山金さん』『旗本退屈男』『若様侍捕物帳』を経て、『新吾十番勝負』まで時代劇オンリーであったが、ありとあらゆるヒーローのパターンを徹底的に追及させられて来た。ここで発見したことは如何なるヒーローにせよ主人公は完璧無欠で圧倒的強く明るくなくてはならないのだ。『丹下左膳』も原作は異常性格者であった。こういう設定も面白いと私は思ったが何年何十年という時代の選択を経て『当たる』というニーズは明るく豪快な左膳で大友柳太郎氏の当たり芸になった。徹底していたのは、すべての主人公に共通に、例え大爆発に会っても、海中に落下するというピンチに会っても髪一筋乱さず衣服もぬれず乱れもしないというのが彼等のスーパーマンぶりの象徴だったのだ。それほど人間離れした神業の持ち主ということだったのだ。こういう中で育った私だが石森先生との対談の中で私自身覚えていた反発はそれなりに解決し、それはそれなりに求める人が大多数であるという現実認識に辿り付いたりして仮面ライダーは完成したのだ。多羅尾坂内は三米の近距離から発射されたライフルの弾丸を間一髪避けるという荒唐無稽とも言える神業もそれを求める大衆が多数存在するという現実の中で私の意ヒーローは完成したのだ。東映京都のヒーロー像は金銭を欲しがってはいけない。女を好きになってはいけない。冗談を言ってもホンの一言 軽くイナシテいつに間にか去る程度。金銭物欲は欲しがらない。大金を騙し取られても怒らない。『そうか銭が欲しかったのか、言えばもっと遣ったのに』と笑って使用人の喜内をイライラさせると言うのが習い覚えた私のヒーロー像なのだ。助監督、監督、として参加した百三十余本のチャンバラヒーロー時代劇、師匠はチャンバラヒーローを撮らせたら世界一の松田定次先生。松田先生は言われた『ヒラちゃんは大学出てるけど、私は小学校しか行ってないんだよ。でも世の中には小学校しか行ってない人の方が多いんだよ。その人たちはお百姓や職工や丁稚になって汗水垂らして働いてクタクタ疲れて居る、その疲れを取る為に東映の映画を見に浅草東映に来てくれる。私はその人たちの為に楽しい映画を撮るのや。ウチの映画を見た人は気持ちスカッとして、また明日から元気に働けるように成るのや。スカッとして元気になる映画の主人公は狙い撃たれた弾丸さえ躱してしまう神業の持主で、何があっても負けない絶対のヒーローでなくてはならないのだよ。』絶対のヒーローだから、この人が来たら、もう大丈夫。お姫さまが危ない。もう駄目か!可愛そうなお姫さまに危機が迫る!もう駄目か!救いを求めて走った子役の知らせを聞いて、何!と走り出すヒーロー!ああ、良かった、お姫さまはもう大丈夫!と客席から沸く拍手!絶対のヒーローは絶対なのだ。勝つに決まって居る。お姫さまは助かるのだ。ホラ良かった助かった。こういう素朴な信頼感と充足感が見る人の疲れを取り明日への元気を与えるのだ。こういった素朴なヒロイズムは昔の西部劇にも有った。インヂアンに囲まれて襲われて、もう駄目かと言う微かに聞こえるラッパの音。ラッパだ!騎兵隊だ!遥か地平線の彼方に駆け付ける騎兵隊!騎兵隊だッ!助かったッ!逃げ散るインディアン。助かったッ!あの頃、騎兵隊は無敵だった騎兵隊が来れば、どんな凶暴なインディアンでも敵わない。騎兵隊は絶対だった。騎兵隊のラッパが聞こえただけでもインディアンは逃げるし、惨殺を覚悟して居た人々は助かったを躍り上がって喜ぶのだ。騎兵隊は絶対であって負けるなんて事は考えられなかったのだ。素朴な良き時代騎兵隊は絶対の救世主だったのだ。こういうスカッと心の晴れる大衆娯楽映画が当時の勤労大衆の疲れ果てた心身を癒し明日からの働く意欲を如何に盛り立てたか、こう言ったマキノ映画の神髄を私に叩き込んでくれた師匠松田定次 マキノ雅弘 佐々木康 小国英雄 松村昌治 大監督 大ライター。総仕上げはヒーロー創りの大御所石森章太郎先生。私は浅草東映のお客さんに小学校低学年以下のイメージして仮面ライダー等々を贈って来たのだ。こう思って見返すと先生方に教えられた私の貴重なヒーロー像は哲学と呼べるかも知れない。


ここまで。
では、また。
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テーマ:特撮ヒーロー - ジャンル:テレビ・ラジオ

コメント

ありがとうございます!

平山亨先生のお元気な頃の生き生きとした語り口調が聞こえてくるような文章ですね。
先日まで時代劇専門チャンネルで放送されていた「花のお江戸のすごい奴」の企画にも関わっておられたことをウィキペディアで知りました。仮面ライダーの始まる少し前ですが子供向けの特撮ドラマもいくつか同時進行で手がけておられた時期の作品でした。当時自分は子供でしたが、平山亨先生が精力的にお仕事をされたころの作品の数々は我々の世代にとっても貴重な財産だと思います。

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父、平山亨は、2013年7月31日23時24分心不全により他界いたしました。

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